校正者になりたい!でも具体的にどんな勉強をしたらいい?
資格は必要?調べてみると2つあるけどどっちを選ぶべき…?
ユーキャンとかに通信講座ってある?
校正の仕事に興味を持ったら一度は考えることではないでしょうか。
この記事では、そんな校正に関する資格について校正士・校正技能検定どちらを受けるべきか、校正者になるには何をすべきかなどを解説します。
校正の資格は2つ
校正は資格がなくてもできる仕事です。
しかし資格取得を通して知識を付けることで、就職で有利になったり、仕事の質を上げたりすることができます。
校正に関する資格は以下の2つ。
- 校正士認定試験
- 校正技能検定
就職や仕事を得るにはどっちが有利?などせっかく取るならメリットの多いものを選びたいですよね。
ここでは校正士・校正技能検定それぞれの概要とメリットとデメリットを紹介します。
ちなみに2024年1月時点でユーキャンに校正講座はありません…
校正士
校正士は、校正者の技能を客観的に評価する「校正士認定試験」に合格することで認定されます。
主催 | 一般財団法人 実務教育研究所 |
受験資格 | 校正実務講座を修了 |
受験日程 | 講座申込時期による ※校正実務講座を修了した約3カ月後に 実施要項が送付される |
受験料 | 6,000円(税込 / 手数料別) |
受験地 | 自宅 ※在宅校正を想定し、締め切り日までに 自宅で試験問題を校正して提出する 実践的な方法で実施 |
受験資格を得るための 講座受講費用・期間・形式 | ■受講費用 入学金 5,000円(税込 / 手数料別) 受講料 40,400円(税込 / 手数料別) ■受講期間:6カ月 ※最長3カ月無料で延長可 ■受講形式:在宅 ※年1回程度、東京でスクーリングあり。 任意参加で参加費は7,000円程度。 |
合格率 | 非公開 |
出題形式・範囲 | 校正の基本的実践能力(以下①②)を審査 ①引き合わせ原稿と校正刷りを正確に 引き合わせることができる技能 ②引き合わせ原稿のない校正刷りを 素読みで正確にチェックできる技能 |
補足 | 成績優秀者には文部科学大臣賞、 実務教育研究所賞を授与 |
100%通信講座なので、届いたテキストを使って在宅で勉強というのが特徴です。
試験も在宅で行います。
ちなみに、文部科学省認定とありますが国家資格ではありません。
【校正士】メリット
校正士のメリットは以下の通りです。
- 100%在宅で通学不要なので、スクールがない地方在住でも受講できる
- 受講コースが1つしかないので迷いがない
- 時間に関係なく自分のペースで学習を進められる
- 随時受付しているので、やる気になったらすぐに申し込むことができる
最大の特徴は、なんといっても100%在宅で完結できるところです。
受講コースの選択肢がないのは逆に言えば迷いなく決められるということ。
初回でテキストがドサッと届いて自分のペースで進めることができるので仕事や家事・育児とも無理なく並行できます。
受付も随時なので思い立ったらすぐ受講できるスピード感は助かりますね。
【校正士】デメリット
校正士のデメリットは以下の通りです。
- 通信講座だが提出方法が郵送などがかなりアナログ
- テキストや課題などの内容が古い
- 計画的に進められないと溜めがち
通信講座なので今の時代Web上で完結してほしいところですが、残念ながら基本郵送です。
質問も所定の用紙で郵送で質問なので回答までタイムラグがあります。
メールで質問できればなぁ…
報告課題は紙に赤入れなので郵送でも致し方ない部分はありますが試験の申込書まで郵送またはFAXです。
特に受講料や受験料の振込用紙がコンビニ支払いできる形式ではなかったのは驚きました…。
恥ずかしながら、私はコンビニ払込用のバーコードがない振込用紙は初めて見たので郵便局員さんにやり方を聞いてゆうちょATMで支払いました。
ATMで自分の口座から送金するのが一番手数料が安いらしいですよ!
そしてテキストや課題の内容も古いです。
テキストの内容は活字組版時代から通じる部分もあるので古くても問題ないと思いますが実践問題まで古いです。
今の時代の在宅校正を想定した講座内容であればもう少しコンピュータ文字組版の実践問題があれば仕事に生かしやすいんだけどなーというのが正直なところです。
文字の転倒の赤入れとか今後一生しない気がする
校正技能検定
校正技能検定とは、その名の通り「校正」の技能を認定する検定試験です。
主催 | 日本エディタースクール | |
受験資格 | 初級 | 所定のコースを修了することで認定 (受験不要 / 高卒以上受講可) |
中級 | ①所定のコース修了者(初級認定された人) ②各種機関での校正実技訓練者 または実務経験者 ③校正技能検定委員会に認定された人 | |
上級 | 中級合格者 | |
受験日程 (詳しくは公式サイト) | 中級 | 年2回 |
上級 | 年1回 | |
受験料 | 中級 | 8,800円(税込) |
上級 | 9,900円(税込) | |
受験地 | 中級 | 東京、関西 |
上級 | 東京 | |
受験資格を得るための 講座受講費用・期間・形式 | ■受講費用 37,710円~459,950円(税込) ■受講期間 6カ月 ※通信講座 校正コースのみ 8カ月+延長4カ月まで ■受講形式:通学・通信 | |
合格率 | 中級 | 31.3% |
上級 | 26.6% | |
出題形式・範囲 | ■実技3課題 ①縦組原稿引合せ ②横組原稿引合せ ③縦組データ入稿の赤字確認と通読 ■学科1課題 下記の範囲から○×式および筆答式で出題 ①校正作業に必要な知識 ②用字用語に関する知識 ③一般的知識 | |
補足 | ・中級の実技試験は合格基準に達し 学科試験のみ合格基準に達しなかった場合は 準中級を認定 (準中級認定者は一定期間内に学科試験のみ 再受験し、基準に達すれば中級合格) ・合格点は85点前後 |
受講コースが多いので自分の状況に合うスタイルで受講できるのが特徴。
試験は、試験実施日の約2カ月前から募集され、所定の試験会場で一日がかりで行われます。
ちなみに修了することで初級認定される所定のコースとは以下の5つ。(2024年1月時点)
- 全日制 校正者養成専門コース
- 夜間講座 総合コース(校正基礎実習、タテ組校正実習、ヨコ組校正実習)
- 夜間講座 校正コース
- 土曜講座 校正教室(基礎教室、実習教室)
- 通信講座 校正コース
- 通信講座 校正フレックスコース
【校正技能検定】メリット
校正技能検定のメリットは以下の通りです。
- さまざまな受講コースがあり自分の状況に合わせて選択できる
- 日本エディタースクールというネームバリュー
- 通学なら強制的に勉強する環境が作れる
- 会場での厳密な試験が実施されるので信用性が高い
通学と通信選べるというのが嬉しいポイントですね。
なんといっても日本エディタースクール主催。
校正もそうですが編集を学びたい方の中では言わずと知れた有名どころです。
日本エディタースクールから出ている書籍もありますので、受講する前に一度書籍を読んでみてもいいかもしれませんね。
試験も午前・午後しっかり使ったもので信用性が高い印象です。
通学であれば勉強しなければならない状況に自分を追い込めるので通信講座だと続けにくい性格の人にぴったりです。
【校正技能検定】デメリット
校正技能検定のデメリットは以下の通りです。
- スクールが東京にあるので関東近郊でないと通学できない
- 地方在住だと中級以上の試験は東京(または関西)まで行かなければならない
- 受講コースによっては費用が高い
- 通信の場合、計画的に進められないと溜めがち
豊富なコースが選択できても、スクールに通えない地方在住者は通信講座しか選択肢がありません。
初級までは在宅で可能ですが中級以上は試験を東京(または関西)まで受けに行かなければなりません。
また、費用の高さも厳しいポイント。
通学はやはりお金がかかります。
検定受験料も校正士に比べるとやや高めです。
通信講座は比較的安く受講できますが、ここは校正士と同様に自分との闘いになります。
計画的に進められないと後で焦ることになりますよ。
初級までなら完全在宅で取得できるので、中級以上はいらない(試験は受けない)のであればメリットとデメリットは校正士とほぼ同じでしょう。
内容がやや軽めですが、通信講座 校正フレックスコースの方が校正実務講座よりわずかに費用が安いようですね。
「校正士」「校正技能検定」どっちを受けるべき?
ここまで校正士と校正技能検定について説明をしてきました。
どっちの資格が就職に有利かとなると正直どちらもないよりはあった方がいいという程度。
あまり大差はないので自分の環境、経験、性格に合わせて決めましょう。
企業によっては採用の決め手になることがあるかも?
校正士がおすすめな人
校正士がおすすめな人は以下の通りです。
- スクールに通えない地方在住の人
- 費用をなるべく抑えたい人
- スケジュール管理が得意な人
- すでに実務経験があるなど基礎知識がある人
- 郵便局が近い人
通信講座という居住地に左右されず、費用をなるべく抑えたい人は校正士がおすすめです。
しかしテキストの内容はかなり専門的で内容も古いので、ある程度基礎知識がないとモチベーションが保てないかもしれません。
また、第四種郵便で課題提出の送料は15円とお安いのですが切手が必要。
あまり使わない種類の切手ですし郵送の機会が増えるので郵便局が近いというのは地味に重要です。
校正技能検定がおすすめな人
校正技能検定がおすすめな人は以下の通りです。
- スクールに通える関東在住の人
- 強制的に学習する環境が欲しい人
- しっかりと基礎知識を固めたい人
- 校正初心者
- よりハイレベルな資格を取得しておきたい人
スクールに通ってしっかりと講義が受けられるのは最大ポイント。
強制的に学習する環境が作れますし、何よりしっかりと基礎知識を教えてもらえるので校正初心者は校正技能検定がおすすめです。
また初級、中級、上級の3段階があるので特に上級は持っていると「ちゃんと勉強しているな」というイメージがありますね。
合格率も低く難易度も高くなりますが、合格のためにした勉強は確実に校正の質を向上させてくれるでしょう。
校正者になるには
資格があろうがなかろうが、やはり大切なのは実際に仕事をやってみること!
経験は何よりも強いです。
ここでは校正者になるにはどうすべきかを解説します。
校正者になるには①会社勤め
まず出版社や新聞社、印刷会社に就職して校正者になる方法です。
校正プロダクションに所属するというのもありますね。
会社にもよりますが、入社すぐに校正の仕事はできないかもしれません。
編集などの仕事を通して全体像をつかんでから校正にキャリアチェンジするというパターンもあります。
会社に所属しているので、だいたいのマニュアルやツール、辞書など仕事に必要なものが整備されており、わからないことは先輩に聞くこともできます。
まずは会社勤めで経験を積むのがおすすめです。
仕事探しは求人数の多い転職サイトがおすすめ!
校正の仕事に転職したいなら、やはり大手の転職サイトで探すのが手っ取り早いでしょう。
みんなご存じリクナビNEXTなら、豊富な求人から希望に近い仕事を見つけやすい!
人に合わせたおすすめ求人や、気になる企業側から声がかかるなど転職におけるサポートがたくさんあって安心ですよ!
校正者になるには②フリーランス
フリーランスで校正者をしている人もいます。
会社員として校正の経験を積んだ上で独立するというパターンが多いでしょう。
全く別の職種で働く人は、副業で校正を始めて経験を積んでいる人もいますね。
クラウドソーシングなどで仕事を請け負ったり、企業と業務委託で仕事をしたりというのが一般的です。
仕事を依頼したい人と仕事を受けたい人をマッチングさせるクラウドソーシングであればクラウドワークスやランサーズ、自分のスキルを気軽に売り出せるスキルマーケットであればココナラが有名ですね。
中にはもともと勤めていた会社を、雇用契約から業務委託契約に変えてフリーランスデビューする人もいるとか。
ライターやディレクション業と兼務している人も多くいます。
ちなみに私もライター業と兼務しています。
校正に限らずですが、未経験でフリーランスになる場合は最低でも半年ほど無収入でも生きていけるだけの貯蓄を用意しておきましょう
「校正士」「校正技能検定」どちらを受けるかは状況や性格次第!
今回は校正に関する資格「校正士」「校正技能検定」について詳しく解説してきました。
内容をまとめると以下の通りです。
- 資格がなくても校正の仕事はできる
- 校正士は完全通信講座で地方在住や自分のペースでやりたい人向け
- 校正技能検定は多くのコースから選べて通学はしっかり学びたい初心者向け
- どちらも学んだことはしっかり仕事に生かせる
これから校正者を目指す人も、すでに校正の仕事をしている人も勉強したことがムダになることは絶対にありません。
校正以外の仕事でも、学んでおけば仕事のクオリティが上がってより信頼につなげることができるかもしれませんよ。